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厚生局のあはきの受領委任の取扱い(はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師)の制度をご説明します。あはきの個別指導は、厚生局の指導監査に強い弁護士にご相談下さい。

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あはきの療養費(1):受領委任の取扱いの制度概要

あはきの個別指導・監査に強い、弁護士の鈴木陽介です。

サンベル法律事務所は、全国からご依頼を頂き、指導監査の対応業務をしています。

個別指導・監査には、弁護士を同席させるべきです。まずはご相談下さい。


ここでは、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の受領委任の取扱いの制度の概要について、ご説明します。

なお、厚生局の個別指導、監査に臨むあはき師(はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師)の方は、厚生局の指導監査の基本的な仕組みや個別指導・監査への対応法など記載していますので、まずはこちらのコラムあはきの個別指導と監査をお読みいただくことをお勧めします。


厚生局のあはきの受領委任の取扱いの制度概要


 1 療養費の制度

1 療養費の支給
療養費の支給とは、健康保険法の規定に基づくもので、保険者が、療養の給付等が困難であったり被保険者が保険医療機関等以外の者から手当等を受けた場合において、保険者がやむを得ないと認めるときに、療養費の支給をするというものです。

具体的には、海外に旅行している際の海外の医療機関での治療や、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の施術、、柔道整復師の施術などがこれに当たる場合があることになります。

以上のとおり、法令上の定めによれば、あはきの施術などへの療養費の支給は、保険医療機関での診療などが難しい場合の例外的な取扱いとして、認められていることになります。

2 療養費の支給と療養の給付との違い
療養費の支給は、被保険者(患者)が既にあはき師などに支払った負担について、被保険者が保険者に申請することにより、保険の仕組みの範囲内で受けることができるものです。

対して、療養の給付は、いわゆる保険診療であり、被保険者(患者)が保険医療機関に被保険者証を提示し、一部負担金を支払い医療を受けるものです。

療養費の支給は「現金給付」、療養の給付は「現物給付」と表現されます。

 2 あはきの受領委任の制度

1 あはきの受療委任
患者の負担を減らす観点から、療養費について、受領委任の取扱いが仕組みとして制度化されています。患者は、この制度により、療養費の支給について、実態として保険診療(療養の給付)と類似の対応とすることができます。

受領委任の取扱いは、被保険者(患者)が被保険者証を提示し、一部負担金相当額を支払い、施術を受けることができ、係るあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師は、保険者から療養費の支払いを受ける、というものです。この受領委任の仕組みがあると、被保険者である患者としては、面倒な手続きが軽減され、また、支払いもいったん全額を支払うという必要がなくなるため(一部負担金相当額を支払えば良いため)、施術を受けやすくなる効果が期待できます。

なお、あはき師だけではなく、柔道整復師(柔道整復施術療養費)についても、受領委任の仕組みがあります。

2 受領委任を取扱うあはき師
上記の受領委任の仕組みは、あはき師であれば誰でも無条件に取扱える、というものではありません。受領委任を取扱うための決まりがあります。受領委任の取扱規程を遵守することを確約した施術管理者のあはき師だけが、受領委任の取扱いによる療養費を請求できるルールになっています。

 3 受領委任の取扱規程

1 施術管理者
あはきの施術所の開設者が受領委任に係る施術管理者となります。ただし、開設者が施術者(あはき)でない場合や開設者である施術者が施術所で施術を行わない場合は、その施術所に勤務する施術者の中から開設者が選任した者が施術管理者となります。

はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧の施術について、それぞれ施術管理者を配置することが可能ですが、施術に係る施術管理者を複数配置することは認められません。それぞれ施術管理者を配置する場合は、施術に応じてそれぞれ受領委任の申出を行うことが求められます。

2 受療委任の申出
受領委任の取扱いを希望する施術管理者のあはき師は、受領委任の取扱規程を遵守すること確約しなければならず、当該確約を行ったあはき師は、勤務する他の施術者から、受領委任の取扱規程で定められた保険施術の取扱いを遵守し、指導監査の適用を受けることの同意を得た上で、管轄の厚生局長と都道府県知事に申し出ることになります。

なお、施術管理者は、施術所に勤務する他の施術者の施術を含めその施術所全般を管理する者であることから、原則として、一人一つの施術所までであり、複数の施術所の施術管理者となることは認められていません。1人のあはき師が、2つの施術所の施術管理者には原則なれない、ということです。

3 受領委任の承諾
申し出があった場合、施術所の管轄の厚生局長と都道府県知事は、欠格事由に該当する場合を除き、受領委任の承諾を行い、取扱いを認めることになります。

欠格事由は、受領委任の取扱規程11に記載があり、概要以下のとおりとされています。

【受領委任の取扱規程11】
(1) 施術管理者である施術者又は勤務する施術者が受領委任の取扱いの中止を受け、原則として中止後5年を経過しないとき。

(2) 当該申出を行った施術管理者が勤務し又はしようとする当該施術所の開設者がこれまで開設していた施術所の施術に関し、当該開設していた施術所に勤務していた施術者が受領委任の取扱いの中止を受け、当該中止後、原則として5年を経過しないとき。

(3) 受領委任の取扱いの中止を受けた施術管理者に代えて当該施術所の開設者から施術管理者に選任された者であるとき。

(4) 不正又は不当な請求に係る返還金を納付しないとき。

(5) 二度以上重ねて受領委任の取扱いを中止されたとき。

(6) 施術管理者又は当該施術所の開設者が第8章40の指導を重ねて受けたとき。

(7) 施術管理者又は当該施術所の開設者が健康保険法、同法第65条第3項第3号に規定する政令で定める国民の保健医療に関する法律又はあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和 22 年法律第 217 号)に違反し罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。

(8) 施術管理者又は当該施術所の開設者が禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。

(9) 施術管理者又は当該施術所の開設者が健康保険法、同法第65条第3項第5号に規定する社会保険各法に基づく滞納処分を受け、かつ、当該処分を受けた日から3ヶ月以上の期間にわたり、当該処分を受けた日以降に納期限の到来した社会保険料のすべてを引き続き滞納している者であるとき。

(10) 受領委任の取扱いの中止を逃れるために承諾を辞退して、その後しばらくして受領委任の取扱いについて申出をしてきたとき。

(11) 指導監査を再三受けているにも関わらず、指示事項について改善が見られず、 再申出時を迎えたとき。

(12) 令和3年1月1日以降に10の申出を行った施術管理者について、「はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師の施術に係る療養費の受領委任を取り扱う施術管理者の要件について」(令和2年3月4日保発0304第1号厚生労働省保険局長通知)による実務に従事した経験を一年以上有しないとき。

(13) 令和3年1月1日以降に10の申出を行った施術管理者について、(12)の通知による研修の課程を修了していないとき。

(14) その他、受領委任の取扱いを認めることが不適当と認められるとき。(厚生(支)局長及び都道府県知事が、受領委任の取扱いを辞退した施術者若しくは廃止された施術所について、受領委任の取扱いを中止すべき案件(以下「中止相当」という。)である旨決定した場合において、上記(1)から(3)及び(5)に該当する場合を含む。)

4 施術者、施術所
上記のより承諾された施術管理者と勤務する施術者が、あはきの受領委任の取扱いに係る施術を行うことができます。その場合の係る療養費の請求は、施術管理者が行うものとされています。

なお、受領委任の取扱いは、承諾された施術所、承諾施術所といいますが、こちらにおいて行われる施術(往療を含みます。)にのみ認められます。

5 申出事項の変更等
施術管理者は、申し出ている内容に変更が生じたときや受領委任の取扱いができなくなったときは、速やかに届け出なければいけません。ただし、承諾施術所の住所(出張専門施術者の住所は除かれます。)が変更となった場合は、あらためて受領委任の申出が求められます。

具体的には、施術所の名称が変更となった場合、新たに勤務する施術者を雇用する場合、勤務する施術者が退職する場合などが挙げられます。勤務施術者の採用や退職での届け出は失念しがちですので、特に留意する必要があります。

6 施術のルール、開設者の責任
施術管理者と勤務する施術者(勤務するあはき師)は、関係法令・通達等と受領委任の取扱規程を遵守して施術と療養費の請求を行わなければなりません。

施術の必要があると認められる疾病や適応症に対して、以下の方針の下に、適切に施術を行うことが求められます。
第一に、施術にあたっては、懇切丁寧を旨とし、患者の療養上必要な事項は理解しやすいように指導すること、療養費の支給対象など療養費を請求する上での注意事項を説明すること、
第二に、施術は療養上必要な範囲で行い長期・過度な施術とならないように努めること、
第三に、医師の診療を受けさせることが適当と判断される場合は医師の診療を受けさせること。

健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益の提供や違法な広告または通達・ガイドライン等に違反する広告で患者が自己の施術所で施術を受けるように誘引してはならないとされています。例えば、商品を配布することなどは、これに当たる可能性があります。

施術所が、集合住宅・施設・請求代行業者・医療機関やその関係者等に対して金品(いわゆる紹介料その他の経済的利益)を提供し患者の紹介を受けたその結果の施術については、療養費の支給の対象外となります。また、施術所が、医療機関やその関係者等に対して金品等を提供し療養費の請求に係る同意書や診断書の交付を受けたその結果の施術については、療養費の支給の対象外となります。

施術管理者は、施術所内の見やすい場所に、施術管理者と勤務する施術者の、氏名とはり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の別を掲示しなければなりません。

施術所の開設者は、受領委任に係る保険施術と療養費の支給申請について、施術管理者や勤務施術者を監督する義務を負い、係る施術管理者や勤務施術者と同等の責任を負います。開設者は、問題が生じた場合に、現場の施術管理者にすべて任せているから責任はない、とは弁解できない、ということです。

7 受領委任の取扱いの中止
施術所の管轄の厚生局長と都道府県知事は、施術管理者・開設者・勤務施術者が、受領委任の取扱規程を遵守しなかったとき、療養費の請求内容に不正または著しい不当の事実が認められたとき、その他受領委任の取扱いが不適当と認められたときは、受領委任の取扱いを中止することができます。

なお、複数の施術管理者を配置する施術所で中止(中止相当)とする場合は、当該施術所のはり・きゅう・あん摩マッサージ指圧のすべての施術について中止するものとされています。


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対応を弁護士がサポートし、指導監査に同席します。


あはきの個別指導と監査のコラム


あはきの個別指導と監査のコラムの一覧です。
あはきの受領委任の取扱いの制度概要の他にも、コラムがございます。
はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の方は、個別指導の際に、また日常の運営にご活用下さい。

 1 個別指導と監査の対応法


1 あはきの個別指導と監査


 2 あはきの個別指導・監査の実例


1 あはきの情報提供の個別指導

2 あはきの監査欠席での中止

3 患者家族の情報提供での個別指導


 3 あはきの療養費


1 あはきの受領委任の取扱いの制度概要

2 あはきの施術管理者の要件、療養費の支給対象

3 あはきの施術録(カルテ)、療養費支給申請書

4 あはきの初検料、施術料、往療料、施術報告書交付料

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